- 大規模降灰に備え、水・食料・常用薬・携帯トイレ・照明・充電手段などを一週間程度備蓄する。
- 広域降灰では、できる限り降灰域内の自宅等で生活を継続することを基本とし、状況に応じて行動する。
- 30cm以上の降灰や降灰後土石流の危険がある地域では、噴火直後は自宅や堅牢な建物へ退避し、その後の状況を踏まえて原則避難する。
- 火山灰を大量の水で側溝や下水へ流さず、軽く湿らせて集め、自治体の指示に従って袋などへ回収する。
- 噴火時はSNS上の推測ではなく、気象庁の既存の降灰予報や噴火警報・予報、自治体からの情報を確認する。
「富士山が噴火したら、東京まで溶岩が流れてくるのでは?」と心配する人もいるかもしれません。
しかし、東京など富士山から離れた首都圏で特に考えておきたいのは、大規模な爆発的噴火によって火山灰が広い範囲に降る「広域降灰」です。
火山灰が大量に降ると、鉄道や道路だけでなく、電力、通信、上下水道、物流などにも影響が広がり、都市生活そのものが機能しにくくなる可能性があります。
ただし、2026年9月現在、気象庁は富士山を「噴火警戒レベル1(活火山であることに留意)」としており、火山活動は静穏で、噴火の兆候は見られないとしています。
この記事は「富士山の噴火が迫っている」と伝えるものではありません。将来起こり得る噴火と広域降灰について、東京の暮らしにどのような影響が出るのかを、今のうちに知っていただくことを目的に制作しています。

【この記事について】
この記事では、内閣府や気象庁などの公的資料に加えて、火山学者で東京大学名誉教授の藤井敏嗣氏が発表・解説してきた内容を参考にしています。
藤井氏は、私が防災士の資格を取得する際に受講した講義で講師を務めてくださり、富士山噴火と火山災害について直接お話を伺った方です。
特に印象に残っているのが、富士山噴火を火山の周辺だけの問題として考えるのではなく、火山灰によって交通、電力、通信、上下水道、物流など都市の機能が連鎖的に影響を受ける可能性まで考える必要がある、という視点でした。
今回は、その講義で学んだ視点を出発点に、藤井氏が公表している研究・論文・インタビュー等も確認し、最新の公的資料と照合しながら整理しています。
- 富士山はいま噴火しそうなの?「いつ噴火してもおかしくない」の意味
- 富士山はどんな噴火をする?東京への影響は噴火の種類で違う
- 宝永噴火は重要なモデルだが「次も同じ」とは限らない
- 東京の鉄道は?微量の火山灰でも止まる可能性がある
- 道路は火山灰と雨の組み合わせでさらに走りにくくなる
- 停電はなぜ起こる?濡れた火山灰が電力設備に影響する
- スマホやインターネットも使えなくなる?通信への影響
- 水道は?東京と神奈川でもリスクは同じではない
- 火山灰を下水道や側溝へ水で流してはいけない
- 建物は大丈夫?30cm以上では木造住宅の倒壊にも注意
- 東京では逃げる?自宅にとどまる?降灰量で行動が変わる
- 富士山麓の避難と東京の広域降灰対策は同じではない
- 火山灰は大量に残る|約4.9億立方メートルという試算も
- 家庭では一週間程度の在宅生活を想定して備える
- 噴火したら何を見ればいい?現在の「降灰予報」は3種類
- 富士山の噴火を正確に予知できるとは限らない
- 富士山噴火で東京が受ける最大の問題は「灰そのもの」だけではない
- よくある質問
- 参考資料・出典
富士山はいま噴火しそうなの?「いつ噴火してもおかしくない」の意味
藤井敏嗣氏は、富士山について「いつ噴火してもおかしくない」という趣旨の発言を繰り返しています。
この言葉は、「噴火が目前に迫っている」という意味ではありません。
2026年のインタビューで、噴火が明日なのか数十年後なのかは分からず、危険性が急に高まったということではないと説明しています。本質は、富士山が現在も活動する活火山であり、その長い活動史から見れば、噴火そのものは異常な現象ではないということです。
山梨県の富士山ハザードマップ検討資料では、過去約5600年間に約180回の噴火が確認されています。単純平均すれば約30年に1回となり、1707年の宝永噴火以降、300年以上噴火が確認されていない期間は長い休止期間といえます。
ただし、「平均30年だから、300年以上たった今は噴火直前」という計算はできません。火山噴火は一定の周期で起きるものではなく、この平均値から次の噴火時期や確率を求めることはできません。
また、過去約5600年間の噴火の多くは小規模・中規模で、大規模噴火は一部です。したがって、「次の噴火は必ず宝永噴火級になる」とも言えません。
富士山はどんな噴火をする?東京への影響は噴火の種類で違う
富士山の噴火というと、一つの決まったパターンがあるように感じるかもしれません。
実際には、富士山では過去にさまざまな火山現象が発生しており、藤井氏は著書で富士山を「噴火のデパート」と表現しています。
想定される主な現象には、溶岩流、火砕流、大きな噴石、融雪型火山泥流、降灰などがあります。
そして、それぞれ危険が及ぶ範囲が違います。
溶岩流や火砕流などは主に富士山周辺で問題になります。一方、爆発的な噴火によって細かな火山灰が高い上空まで巻き上げられると、風によって100km以上離れた地域まで運ばれることがあります。
そのため、東京で特に重要なのが広域降灰です。
ただし、富士山が噴火すれば必ず東京に大量の火山灰が降るわけではありません。噴火の規模、噴火の様式、継続時間、噴煙の高さ、上空の風向・風速などによって降灰範囲や量は大きく変わります。
宝永噴火は重要なモデルだが「次も同じ」とは限らない
首都圏の広域降灰対策では、1707年の宝永噴火が重要なモデルとして使われています。宝永噴火は大規模な爆発的噴火で、噴火は約16日間続き、江戸にも火山灰が降りました。
内閣府の広域降灰対策では、宝永噴火規模の噴火をモデルとしたケースについて、噴出物の量を約17億立方メートルとし、そのうち道路、鉄道、建物用地、農地など一定の土地利用がされている場所に降り、処分が必要になる火山灰を約4.9億立方メートルと試算しています。
これは東日本大震災で発生した災害廃棄物量の約10倍に相当する規模です。
一方で、この想定は将来の富士山噴火を予言したものではありません。
内閣府も、宝永規模・特定の風向を仮定した対策検討用のモデルであり、実際の噴火では風向、規模、継続時間などによって降灰分布が変わると明記しています。
同じ噴出量でも、短期間に噴き出せば影響は変わる
藤井氏は2026年のインタビューで、宝永噴火は約16日間続いた一方、同程度の総量が1~2日程度の短期間に放出されるような爆発的噴火のシナリオも考え得ると指摘しています。
これは「次の噴火が1~2日になる」という予測ではなく、同じ総量でも、短時間に大量の火山灰が降る場合と、長期間にわたって降り続ける場合では、交通停止や除灰、物流、上下水道などへの影響の現れ方が大きく違うため、複数のシナリオを考える必要がある、という意味です。
宝永噴火そのものも単純な噴火ではなかった
藤井氏らの2004年の研究では、宝永噴火の直前には玄武岩質、安山岩質、デイサイト質という異なる3種類のマグマが別々に存在していたことが示されています。
一部のマグマは噴火直前または噴火中に混合し、複雑な過程を経て宝永噴火が起きたと考えられています。こうした研究からも、過去の宝永噴火をそのまま次の噴火へ当てはめることは妥当性を欠きます。
東京の鉄道は?微量の火山灰でも止まる可能性がある
首都圏で最も早く生活への影響を感じる可能性があるのが交通です。
内閣府の被害想定では、微量の降灰でも地上を走る鉄道路線が運行停止になる可能性が示されています。

レールが火山灰で覆われると、車輪とレールの間の通電に問題が起こり、列車位置の検知や踏切などに支障が生じる可能性があります。
地下鉄なら必ず動けるわけでもありません。地上区間の停止、停電、車両や乗務員・作業員の不足、利用者の集中などによって、地下区間でも運行停止や輸送力低下が起こる可能性があります。
つまり、「何cmも積もってから鉄道が止まる」と考えないことが重要です。
道路は火山灰と雨の組み合わせでさらに走りにくくなる
道路では、降灰による視界不良や路面の滑りやすさによって、降灰量が少ない段階から速度低下や渋滞が発生する可能性があります。
内閣府が対策検討の目安としている想定では、二輪駆動車は乾燥した火山灰が10cm以上、降雨時は3cm以上積もると通行不能になる可能性があります。
雨で火山灰が水を含むと、路面状況がさらに悪化します。
ただし、これらの数値は「この厚さになるまでは安全」という境界ではありません。車種、路面、火山灰の状態、雨量などによって実際の影響は変わります。
鉄道が止まれば道路へ人や車が集中し、物流車両や緊急車両の移動にも影響が広がる可能性があります。
停電はなぜ起こる?濡れた火山灰が電力設備に影響する
火山灰は乾いている状態だけでなく、雨との組み合わせが問題になります。
内閣府の検討資料では、雨によって火山灰が湿り、送電設備の碍子(がいし)に付着すると絶縁性能が低下し、停電が起こる可能性が示されています。
被害想定では、降雨時に0.3cm(3mm)以上の降灰が一つの目安とされています。ただし、これは一定の条件に基づく対策検討上の想定で、塩害対策済みのエリアや地下・屋内設備などは除外されています。3mm降れば必ず停電するという意味ではありません。
また、火力発電所などでは、吸気設備のフィルターに火山灰が入り込み、交換頻度の増加や発電能力低下につながる可能性があります。
停電すれば、通信基地局や水道・下水道設備、店舗、医療機関などにも二次的な影響が広がります。
藤井氏が広域降灰を「都市システム」の問題として捉えているのは、一つのインフラ障害が、別のインフラ障害へつながり得るからです。
スマホやインターネットも使えなくなる?通信への影響
通信では、湿った火山灰がアンテナなどに付着することによる通信障害のほか、停電による基地局への影響が考えられます。
通信そのものに支障がなくても、停電が長引けば基地局の非常用電源にも限界があります。

災害時の情報収集をスマートフォンだけに頼らず、モバイルバッテリーや予備電池、携帯ラジオなど複数の情報手段を用意しておくことが重要です。
水道は?東京と神奈川でもリスクは同じではない
上水道では、河川や貯水池などへ火山灰が入ることで原水の水質が悪化したり、浄水処理に負荷がかかったりする可能性があります。
大量の火山灰が流入すれば、浄水処理能力の低下や給水への影響につながる可能性があり、地域によって水源が異なるため、水道へのリスクも一律ではないと指摘されています。
例えば神奈川県では富士山に比較的近い水系への降灰による取水への影響が重要になります。一方、東京都は利根川水系など富士山から離れた水源への依存度が高く、神奈川県とはリスクの性質が異なります。
ただし、東京都でも浄水施設への降灰や原水水質への影響は考える必要があります。
「首都圏全域で同じように水道が止まる」と決めつけず、地域ごとの水源や水道施設の条件によって影響が異なると考えることが重要です。
火山灰を下水道や側溝へ水で流してはいけない
家庭で特に覚えておきたいのが、積もった火山灰を大量の水で側溝や下水へ流さないことです。
火山灰が雨水ますや下水道管へ大量に入ると、管内に堆積して流下能力を低下させたり、閉塞させたりする可能性があります。
そこへ大雨が重なれば排水能力が不足し、浸水リスクが高まることも考えられます。広域降灰と豪雨を別々の災害として考えるのではなく、降灰後に雨が重なる複合的な影響にも注意する必要があると指摘されています。

火山灰を清掃する場合は、舞い上がらない程度に軽く湿らせて集め、自治体の指示に従って袋などへ回収します。水浸しにすると灰が固まり、かえって除去しにくくなります。
建物は大丈夫?30cm以上では木造住宅の倒壊にも注意
火山灰は、燃えた木や紙のような「軽い灰」ではありません。岩石などが細かく砕けたものなので、大量に積もると非常に重くなります。
内閣府のガイドラインでは、降雨時に30cm以上の火山灰が積もる地域では、木造家屋が火山灰の重みで倒壊するおそれがあるとしています。
体育館など、柱と柱の間隔が広く、屋根面積が大きい建物でも、積雪荷重を超えると損壊する可能性があります。
「避難所だから必ず安全」と決めつけることはできません。実際の降灰量や建物の安全性、自治体からの情報を確認して行動する必要があります。
東京では逃げる?自宅にとどまる?降灰量で行動が変わる
地震や津波では「危険な場所から避難する」というイメージがありますが、首都圏の広域降灰では考え方が異なります。
2025年3月の内閣府「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」では、広域降灰に対する住民の行動は、できる限り降灰域内にとどまり、自宅等で生活を継続することを基本としています。
これは、火山灰による緊急的・直接的な命の危険性は比較的低いという特徴に加え、首都圏には非常に多くの人が暮らしていることや、噴火・降灰予測には不確実性があることなどを踏まえた考え方です。降灰中に視界が低下している場合などは、屋外での移動そのものにも危険が伴います。
ただし、どんな場合でも自宅にとどまるわけではありません。
| ステージ | 主な降灰状況 | 一般住民の基本的な行動 |
|---|---|---|
| ステージ1 | 微量〜3cm未満 | 自宅等で生活を継続 |
| ステージ2 | 3cm以上30cm未満・被害が比較的小さい | 備蓄を使い、自宅等で生活を継続 |
| ステージ3 | 3cm以上30cm未満・被害が比較的大きい | 原則は自宅等で生活を継続。困難な場合は生活可能な地域への移動も検討 |
| ステージ4 | 30cm以上、または降灰後土石流の危険がある地域 | 噴火直後は自宅や堅牢な建物へ退避し、その後の状況を踏まえて原則避難 |
また、人工透析や継続的な介護サービスなどが必要で、社会機能の低下によって生命に危険が及ぶ人は、一般住民より早い段階で医療を受けられる地域へ移動する必要があります。
「火山灰が降ったら全員避難」でも、「何があっても在宅」でもありません。降灰量、建物、健康状態、ライフライン、降灰後土石流の危険などを踏まえ、行政からの情報に従って判断します。
富士山麓の避難と東京の広域降灰対策は同じではない
ここで注意したいのが、富士山周辺の避難計画と、東京など遠隔地の広域降灰対策を混同しないことです。
藤井氏が2024年に報告した「富士山火山避難基本計画」では、富士山周辺で溶岩流などから避難する際、交通渋滞による避難の遅れを防ぎ、車での避難が必要な人の経路を確保するため、健康な人については徒歩避難を基本とする考え方が示されています。
これは富士山周辺の火山現象から避難するための計画です。
東京で広域降灰が起きた際に「徒歩で遠くまで避難する」という意味ではありません。首都圏の広域降灰では、内閣府のガイドラインに基づき、自宅等での生活継続を基本として状況に応じて行動します。
火山灰は大量に残る|約4.9億立方メートルという試算も
広域降灰で特に大きな課題となるのが、火山灰の処理です。
宝永噴火規模・西南西風が卓越するモデルケースでは、処分が必要となる火山灰は約4.9億立方メートル(東京ドーム約400個分)と試算されています。
道路や住宅地から集めた灰を一度に最終処分することは現実的ではありません。まず仮置場を確保し、そこから運搬・最終処分や、条件に応じた有効利用を検討する必要があります。
2026年現在も、内閣府と東京都などは「首都圏における広域降灰対策具体化協議会」で、こうした実際の運用を具体化する検討を続けています。
家庭では一週間程度の在宅生活を想定して備える
大規模な降灰では、道路や鉄道、物流が長期間影響を受ける可能性があります。
内閣府が2026年に公表した火山灰への備えの資料では、自宅での生活継続が長期化する可能性を考え、一週間分程度の備蓄を勧めています。
水や食料だけでなく、普段使っている薬、携帯トイレ、衛生用品、照明、ラジオ、スマートフォンの充電手段などを確認しておきましょう。
さらに降灰特有の備えとして、次のものがあります。
- 防塵マスク
- 安全ゴーグルや眼鏡
- スコップ
- 丈夫な手袋
- エアコン室外機などを守る防塵カバー
灰が降り始める前には、窓やドアを閉め、すき間や通気口から灰が入りにくいようにします。

降灰中は不要不急の外出を避け、屋外へ出る必要がある場合はマスクやゴーグルなどで目や呼吸器を守ります。コンタクトレンズは火山灰が目に入った際に傷を悪化させるおそれがあるため、屋外では使用を避けます。
視界が悪い状態での自動車の運転もできるだけ避けてください。
噴火したら何を見ればいい?現在の「降灰予報」は3種類
実際に噴火が発生した場合は、SNS上の推測ではなく、気象庁や自治体の情報を確認します。
2026年9月現在、気象庁の降灰予報には「定時」「速報」「詳細」の3種類があります。
| 情報 | 主な内容 |
|---|---|
| 降灰予報(定時) | 噴火のおそれがある火山について、噴火を仮定した降灰範囲などを事前に示す |
| 降灰予報(速報) | 噴火後、事前計算した結果を使い、5〜10分程度を目安に1時間以内の降灰などを速報する |
| 降灰予報(詳細) | 観測した噴煙の高さなどを使って計算し、通常は噴火後20〜30分程度を目安に6時間先までの降灰量などを示す |
ただし、噴煙が確認できない場合などは発表に時間がかかったり、予報できなかったりする場合があります。また、風向や風速の予測誤差によって、実際の降灰範囲や量が予報と異なることもあります。
「火山灰警報(仮称)」はまだ運用開始前
藤井氏は、気象庁の「広域降灰対策に資する降灰予測情報に関する検討会」の座長を務め、現在の降灰予報は大規模噴火への対応には十分ではないという課題を指摘しています。
気象庁では、降灰量に応じた防災行動へつなげやすくするため、「火山灰警報(仮称)」など新たな情報体系の導入を検討しています。
ただし、2026年9月時点では新しい火山灰警報はまだ正式運用されていません。
現時点では、既存の降灰予報や噴火警報・予報、自治体からの情報を確認します。
富士山の噴火を正確に予知できるとは限らない
地震活動、地殻変動、火山ガスなどを監視することで火山活動の変化を把握できますが、「何月何日に噴火する」「次はこの規模・この様式になる」といった形で、富士山の次の噴火を正確に予測することはできません。
内閣府の広域降灰対策ガイドラインも、噴火前に噴火の規模、様式、タイミング、継続時間を具体的に予測することは現在の技術では困難としています。
さらに、噴火が始まった後も、噴火が拡大するのか、いつ弱まるのかを正確に予測することは簡単ではありません。
そのため、藤井氏は「予知できること」を前提にするのではなく、起こり得る現象を知り、事前に対応を準備しておくことの重要性を繰り返し訴えています。
富士山噴火で東京が受ける最大の問題は「灰そのもの」だけではない
東京から見た富士山噴火のリスクは、街が溶岩に飲み込まれるという単純なものではありません。
大規模な爆発的噴火と風向きなどの条件が重なれば、火山灰によって鉄道が止まり、道路が使いにくくなり、物流が滞り、電力・通信・上下水道にも影響が及ぶ可能性があります。
それぞれの障害は独立しているのではなく、停電が通信や水道へ影響し、交通停止が物流や医療へ影響するなど、連鎖する可能性があります。だからこそ、平時に必要なことは過度に恐れることではなく、まず「何が起こり得るのか」を知ることです。
現在、富士山に噴火の兆候は確認されていません。だからこそ、交通や物流が止まったときに自宅で生活を続けられる備蓄があるか、火山灰から目や呼吸器を守る用品があるか、自分や家族に継続医療が必要な人がいるかを確認しておきましょう。
よくある質問
- Q富士山は今すぐ噴火しそうなのですか?
- A
2026年9月現在、気象庁は富士山を噴火警戒レベル1「活火山であることに留意」としており、火山活動は静穏な状況で、噴火の兆候は見られないとしています。ただし、富士山は現在も活動する活火山です。次の噴火がいつ起こるのかを正確に予測することはできないため、「いま噴火が迫っている」と考える必要はありませんが、平時から備えておくことが重要です。
- Q富士山が噴火したら、東京の人はすぐ遠くへ避難した方がいいですか?
- A
一律に遠方へ避難するわけではありません。内閣府の広域降灰対策では、できる限り降灰域内の自宅等で生活を継続することを基本としています。ただし、30cm以上の降灰が見込まれる木造家屋や、降灰後土石流の危険がある地域、医療や介護の継続が難しく生命に危険が及ぶ人などは、状況に応じて避難や移動が必要です。
- Q富士山の火山灰に備えて、家庭では何を用意しておけばいいですか?
- A
交通や物流が長期間止まる可能性に備え、水・食料・常用薬・携帯トイレ・照明・モバイルバッテリーなどを一週間程度用意しておくことが重要です。火山灰対策としては、防塵マスク、ゴーグル、丈夫な手袋、スコップなども役立ちます。
参考資料・出典
- 気象庁「火山活動の状況(富士山)」
- 内閣府「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」
- 内閣府「火山灰への備え」
- 内閣府「首都圏における広域降灰対策検討会 報告書」
- 気象庁「降灰予報の説明」
- 気象庁「気象業務はいま2026―新たに導入される火山灰警報(仮称)への期待」藤井敏嗣
- 山梨県「富士山噴火の履歴に関するまとめ」
- 藤井敏嗣「富士山火山避難基本計画の策定への取り組み」
- Yoshimoto・Fujiiほか「Multiple magma reservoirs for the 1707 eruption of Fuji volcano, Japan」
- Mizu Design「知られていない災害『広域降灰』にどう備えるか―藤井敏嗣氏インタビュー」
- Mizu Design「富士山噴火――その時、首都圏の上下水道は?―藤井敏嗣氏インタビュー」
- 出版書誌データベース「藤井敏嗣『富士山噴火 その日に備える』」
情報確認日:2026年9月12日

