- 平時に自治体のハザードマップで、自宅・学校・勤務先・避難経路が土砂災害警戒区域等に入るか確認してください。
- イエローゾーンも避難対象であり、「赤ではなく黄色だから大丈夫」と判断せず、危険度が高まれば避難が必要です。
- 大雨時は土砂キキクルの色だけを待たず、気象庁の警報や自治体の避難情報もあわせて確認してください。
- 土砂災害警戒区域等では、警戒レベル4まで自宅にとどまらず、安全に移動できるうちに立退き避難を始めてください。
ハザードマップで土砂災害の情報を見ると、「イエローゾーン」「レッドゾーン」と呼ばれる区域が表示されることがあります。「赤い方が危険で、黄色ならそれほど心配しなくていい」と考えてしまいそうですが、この2つは単純に危険度を色分けしたものではありません。
イエローゾーンは正式には「土砂災害警戒区域」、レッドゾーンは「土砂災害特別警戒区域」といいます。
どちらも、土砂災害から住民の生命や身体を守るために土砂災害防止法に基づいて指定される区域ですが、レッドゾーンではさらに、建物の損壊によって著しい危害が生じるおそれがあるため、一定の開発行為や建物の構造にも規制が加わります。
イエローゾーンとレッドゾーンは何が違う?
土砂災害防止法では、土砂災害のおそれがある土地を調査し、都道府県が区域を指定します。
| 区域 | 正式名称 | 主な意味 |
|---|---|---|
| イエローゾーン | 土砂災害警戒区域 | 土砂災害が発生した場合、住民の生命・身体に危害が生じるおそれがあり、警戒避難体制を特に整備すべき区域 |
| レッドゾーン | 土砂災害特別警戒区域 | 警戒区域のうち、建物が損壊し、住民の生命・身体に著しい危害が生じるおそれがある区域 |
つまり、レッドゾーンは土砂の力によって建物そのものが大きく壊れるおそれまで考慮した区域です。
一方、イエローゾーンも「注意していれば安全」という区域ではありません。土砂災害によって命が脅かされるおそれがあるため、避難情報の伝達や避難場所・避難経路など、警戒避難体制を整える対象になっています。
レッドゾーンは「イエローより危険な色」というだけではない
土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)は、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)のうち、土砂災害によって建物が損壊し、住民の生命・身体に著しい危害が生じるおそれがある区域として指定されます。

大きな違いは、建物への規制が加わることです。
土砂災害特別警戒区域では、住宅宅地の分譲や社会福祉施設などを建てるための一定の開発行為について許可が必要になるほか、居室を持つ建築物について、土砂災害に耐えられるよう構造上の規制がかかります。
そのため、ハザードマップを見るときは、色の濃さだけでなく、自宅が「警戒区域」なのか「特別警戒区域」なのかを確認することが大切です。
「レッドゾーンだけ避難すればいい」は間違い
ここは特に重要です。
大雨時の避難対象は、レッドゾーンだけではありません。
内閣府の「避難情報に関するガイドライン」では、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)だけを警戒レベル4避難指示の発令単位とするのではなく、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)を基本に避難対象を設定する考え方が示されています。
つまり、イエローゾーンに住んでいる場合も、土砂災害の危険度が高まれば避難が必要です。
「自宅は赤ではなく黄色だから大丈夫」と判断しないでください。
対象になる土砂災害は3種類
土砂災害警戒区域等は、主に次の3種類の現象について指定されます。
- 急傾斜地の崩壊(崖崩れ):急な斜面が突然崩れる
- 土石流:山や渓流の土砂が水と一体となって一気に流れ下る
- 地滑り:土地の一部が地下水などの影響によって広い範囲で滑り動く
同じ土砂災害でも、危険が及ぶ方向や範囲は異なります。
参考記事土砂災害の前兆とは?がけ崩れ・土石流・地すべりの危険サイン

自宅が区域内かどうかを見るだけでなく、何の土砂災害が想定されている場所なのかまで確認しておきましょう。
区域外なら土砂災害は起きない?
土砂災害警戒区域等の外だからといって、絶対に安全という意味ではありません。
土砂災害警戒区域は、一定の地形条件に加え、現在人家等がある場所や将来人家等の立地が予想される場所などを対象として指定されます。そのため、区域外でも土砂災害が発生する場合があります。
国のハザードマップポータルサイトも、区域外であっても付近に崖地や小さな沢などがある場合は注意するよう呼びかけています。
また、想定を超える現象が発生したり、区域の隣接地で土砂災害が起きたりする可能性もあります。
国のハザードマップポータルサイトでも、災害リスク情報が表示されていない場所について、必ずしも安全を意味するものではないとしています。
山裾、崖の近く、谷や沢沿いなど、地形を見て危険を感じる場所では、区域の色が付いていなくても注意が必要です。
平時は「ハザードマップ」で自宅・学校・通勤経路を確認する
土砂災害への備えでまず行いたいのが、普段いる場所の災害リスクを確認しておくことです。
確認するのは自宅だけではありません。
- 自宅
- 子どもの学校や保育園
- 勤務先
- よく利用する施設
- 駅までの道
- 避難場所までの経路
自治体が公開しているハザードマップで、これらの場所が土砂災害警戒区域等に入っていないか確認します。

全国をまとめて確認するときは、国土地理院・国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」の「重ねるハザードマップ」も便利です。住所や現在地から土砂災害リスクを確認できます。
ただし、最新かつ詳細な情報については、自治体が公開しているハザードマップや都道府県の区域図も確認してください。
避難先だけでなく「避難経路」も確認する
安全な避難場所が決まっていても、そこへ向かう道が崖の下や沢沿いを通っていると、大雨時には危険になることがあります。

平時のうちに、土砂災害のおそれがある場所をできるだけ通らずに移動できる経路を確認しておきましょう。
夜間、大雨、道路冠水、倒木などによって普段の道が使えなくなる可能性もあります。
一つの経路だけでなく、可能であれば別の避難経路や、安全な親戚・知人宅なども家族で共有しておくと安心です。
参考記事指定緊急避難場所と指定避難所の違い 〜 防災の基本知識 〜
大雨が降ったら見るのは「土砂キキクル」
ハザードマップは、「どこに土砂災害のリスクがあるか」を平時に確認するための情報です。
一方、大雨が降っているときに、「現在から数時間先にかけて、どこで土砂災害の危険度が高まっているか」を確認するのが、気象庁の「土砂キキクル」です。
土砂キキクルは、無色の「今後の情報等に留意」を含む5段階で、1km四方の領域ごとに土砂災害の危険度を表示し、10分ごとに更新されます。危険度に応じて、実況だけでなく最大6時間先までの雨量や土壌雨量指数の予測値も使って判定されています。
| 土砂キキクル | 警戒レベル相当 | 行動の目安 |
|---|---|---|
| 無色「今後の情報等に留意」 | ― | 今後の気象情報に注意する |
| 黄色「注意」 | レベル2相当 | ハザードマップや避難先・避難経路を確認し、今後の情報に注意する |
| 赤「警戒」 | レベル3相当 | 高齢者等は危険な場所から避難する。一般の人も避難の準備や自主的な避難を検討する |
| 紫「危険」 | レベル4相当 | 危険な場所にいる人は速やかに避難する |
| 黒「災害切迫」 | レベル5相当 | まだ危険な場所にいる場合は、直ちに身の安全を確保する |
ただし、無色だから安全、赤になるまでは避難しなくてよい、という意味ではありません。
2026年5月から土砂キキクルの判定方法が変わり、黄色から紫色へ変わる場合や、レベル3土砂災害警報が発表されていても赤色が表示されない場合があります。キキクルの色だけを待たず、気象庁の警報や自治体の避難情報もあわせて確認してください。
「イエロー・レッド」とキキクルの色は別物
ここは混同しやすいポイントです。
ハザードマップで使われる「イエローゾーン」「レッドゾーン」は、法律に基づいて指定された土地の区域を表します。
一方、土砂キキクルの黄色・赤・紫・黒は、大雨によってその時点でどれだけ土砂災害の危険度が高まっているかを表します。
つまり、同じ「黄色」「赤」という言葉が出てきても、意味はまったく違います。
ハザードマップ=場所のリスク、土砂キキクル=現在から数時間先にかけての危険度と覚えると分かりやすいでしょう。
2026年から土砂災害の警報の名前が変わった
2026年5月29日から、土砂災害に関する防災気象情報の名称が、警戒レベルとの関係を分かりやすくする形に変更されました。国土交通省も同日から新しい土砂災害防止対策基本指針を施行しています。
| 情報 | 警戒レベルとの関係 | 行動の目安 |
|---|---|---|
| レベル2土砂災害注意報 | 警戒レベル2 | ハザードマップや避難先・避難経路を確認し、今後の情報に注意する |
| レベル3土砂災害警報 | 警戒レベル3相当 | 高齢者等は危険な場所から避難する。一般の人も避難の準備や自主的な避難を始める |
| レベル4土砂災害危険警報 | 警戒レベル4相当 | 危険な場所にいる人は速やかに避難する |
| レベル5土砂災害特別警報 | 警戒レベル5相当 | まだ危険な場所にいる場合は、命を守るため直ちに身の安全を確保する |
従来の「土砂災害警戒情報」に相当する情報は、現在は「レベル4土砂災害危険警報」として発表されます。
ただし、これらの防災気象情報と、市町村が発令する「高齢者等避難」「避難指示」「緊急安全確保」は別の情報です。
市町村から避難情報が発令された場合は、その内容に従って行動します。一方、避難情報がまだ発令されていなくても、土砂キキクルなどから自宅周辺の危険度が高まっていることが分かった場合は、自ら早めに避難を判断することが重要です。
土砂災害では自宅の2階へ上がればいいとは限らない
洪水では、条件によって自宅の上階へ移動する「屋内安全確保」が可能な場合があります。
しかし、土砂災害では建物そのものが壊れたり流されたりするおそれがあるため、早い段階で安全な場所へ立退き避難することが原則です。

土砂災害警戒区域等に住んでいる場合は、警戒レベル4になるまで自宅にとどまるのではなく、安全に移動できるうちに避難を始めてください。
すでに土砂災害が切迫し、避難場所まで立退き避難することがかえって危険な状況では、**その時点でとれる行動の中から、少しでも安全な場所へ移る「緊急安全確保」**を行います。
移動すること自体が危険な場合は、自宅や今いる建物の中で、少しでも崖や沢から離れた部屋へ移ります。近隣に今いる場所よりも安全と判断できる堅牢な建物があり、そこまで安全に移動できる場合には、その建物へ退避することも考えられます。
ただし、これらはすでに安全な立退き避難ができない場合にとらざるを得ない行動であり、安全が保証されるものではありません。土砂災害では、危険が切迫する前に土砂災害警戒区域等の外へ立退き避難することが原則です。
区域の色を確認するだけで終わらせない
イエローゾーンとレッドゾーンの違いを知る目的は、地図上の色を覚えることではありません。
自分や家族が普段いる場所にどのような土砂災害リスクがあり、危険が高まったときにどこへ、いつ避難するのかを決めておくことが大切です。
平時には自治体のハザードマップで自宅・学校・勤務先・避難経路を確認する。大雨が予想されるときは気象庁の情報を確認し、雨が降り始めたら土砂キキクルと自治体の避難情報をこまめに見る。
そして、区域外だから、イエローだから、まだ避難指示が出ていないからという理由だけで「大丈夫」と判断せず、危険が高まる前に行動できるよう準備しておきましょう。
よくある質問
- Qイエローゾーンとレッドゾーンは、どちらも避難が必要ですか?
- A
はい。レッドゾーンだけが避難対象という意味ではありません。イエローゾーンである土砂災害警戒区域も、土砂災害によって生命・身体に危害が生じるおそれがある区域です。大雨時に危険度が高まった場合は、自治体の避難情報や土砂キキクルを確認し、安全な場所へ早めに避難してください。
- Q土砂災害警戒区域の外なら安全ですか?
- A
必ずしも安全とは限りません。区域指定されていない場所や、区域に隣接する場所でも土砂災害が発生することがあります。山裾や崖、沢の近くなどでは、区域表示がなくても地形や周囲の状況に注意し、危険を感じた場合は早めに避難してください。
- Q大雨のときはハザードマップと土砂キキクルのどちらを見ればいいですか?
- A
両方を役割を分けて使います。ハザードマップは、自宅や学校、勤務先などが土砂災害のおそれがある場所かを平時に確認するための情報です。大雨時は土砂キキクルで現在の危険度の高まりを確認し、自治体の高齢者等避難や避難指示とあわせて避難を判断してください。
参考資料・出典
- 国土交通省「国土交通白書2025 土砂災害防止法に基づく土砂災害対策」
- 国土交通省「土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域」
- 内閣府「避難情報に関するガイドライン(令和8年3月改定)」
- 気象庁「土砂キキクル」
- 気象庁「新たな防災気象情報について(令和8年~)」
- 国土交通省・国土地理院「ハザードマップポータルサイト」
- 国土交通省・国土地理院「ハザードマップポータルサイト よくある質問」
情報確認日:2026年9月13日

