自宅が浸水したら電気・ガスはどうする?感電・火災を防ぐ対応

まず覚えておきたいこと
  • 避難が必要な地域では、ブレーカーや家財への対応を理由に避難を遅らせず、命を守ることを優先します。
  • まだ浸水しておらず分電盤や周囲が乾いて安全に近づける場合に限り、避難時はブレーカーを切ります。
  • 水が家の中に入ったら、濡れた分電盤、コンセント、電気製品、配線には触れず、電気設備に触れないで緊急安全確保を優先します。
  • 浸水した家電やガス機器は、乾いて見えても自己判断で再使用せず、必要な点検を受けてから使用を再開します。
  • ガス臭がする場合は火気や換気扇・照明などの電気スイッチに触れず、安全にできるときだけ窓やドアを開け、危険なら離れてガス事業者へ連絡します。

大雨で道路が冠水し、自宅のすぐ近くまで水が迫ってきたとき、「ブレーカーは切った方がいい?」「ガスの元栓も閉める?」「家電はどうすればいい?」と迷うかもしれません。

自宅への浸水が迫っているときに最も大切なのは、電気やガスを止めることより、自分や家族の命を守ることですが、まだ家の中に水が入っておらず、安全に行動できる時間がある場合には、家電を高い場所へ移したり、避難前に分電盤のブレーカーを切ったりできる場合があります。

浸水し際の電気・ガスの対処

しかし、いったん水が入り始めたら話は別です。濡れた分電盤、コンセント、電気製品などには触れないでください。感電するおそれがあります。

自宅への浸水が迫ったら、まず避難が必要か判断する

家財や家電を守る作業を始める前に、まず確認したいのは「今、自宅にとどまってよい状況なのか」です。
洪水では、災害リスクのある区域から安全な場所へ立退き避難することが最も望ましい一方、条件を満たせば自宅等で「屋内安全確保」ができる場合があります。

屋内安全確保を選べるのは、

  • 自宅が家屋倒壊等氾濫想定区域に入っていないこと
  • 浸水しない高さに居室があること
  • 浸水が続く間に水・食料・薬、電気・ガス・水道・トイレなどが使えなくなる可能性を踏まえても生活を継続できること

などを確認できる場合です。

「家電を2階へ運んでから」「ブレーカーを確認してから」と作業を続けて、避難が遅れてはいけません。

まだ水が入っていない段階でできること

浸水が予想されていても、まだ自宅の周囲や室内が安全で、避難まで十分な時間がある場合には、被害を減らすための準備ができます。

家電やモバイル電源を高い場所へ移す

国土交通省は、水害への事前準備として、水に浸かると使えなくなる電化製品などを確認し、可能であれば高い場所へ移すことを案内しています。
テレビ、小型家電、パソコン、モバイルバッテリー、ポータブル電源など、無理なく動かせるものは、想定される浸水高さより高い場所へ移しておくと被害を減らせる可能性があります。
ただし、大型家電や重い家具を浸水直前になって無理に動かす必要はありません。転倒やけが、避難の遅れにつながるため、安全に動かせるものだけにします。

浸水し際の電気・ガスの対処

電源プラグを抜く場合も、床や機器が乾いていて安全に操作できる段階で行ってください。

避難するなら、安全に操作できるうちにブレーカーを切る

東京電力などは、災害時に自宅から避難するとき、電気製品の消し忘れなどによる事故を防ぐため、分電盤のブレーカーを切るよう案内しています。

浸水し際の電気・ガスの対処

これは、停電後に電気が復旧した際、倒れたり水に濡れたりした電気製品へ再び電気が流れ、火災や感電につながることを防ぐためです。
ただし、ブレーカーを操作してよいのは、分電盤や周囲が乾いていて、安全に近づける場合だけです。
すでに床に水が入っている、分電盤が濡れている、雨漏りなどで周囲が濡れている場合は、ブレーカーを切るために近づかないでください。

参考記事通電火災を防ぐ 〜「感震ブレーカー」の種類と設置の重要性 〜

ブレーカーを切ることより避難を優先します。

電気が必要な医療機器を使っている家庭は事前に停電対策を

人工呼吸器や酸素濃縮装置など、電源が患者の安全に直接関わる医療機器を自宅で使用している場合は、一般家庭向けの「避難時はブレーカーを切る」という対応だけをそのまま当てはめることはできません。医療機器の電源をどう確保し、どの段階で避難するかを平時から決めておく必要があります。

平時から主治医、訪問看護、医療機器メーカーなどと相談し、内蔵・外部バッテリーの持続時間、予備電源、停電時の連絡先、必要に応じた避難先などを確認しておきましょう。

水が家の中に入ってきたら、電気設備には触らない

浸水が始まった後は、行動を切り替えます。

濡れた分電盤、コンセント、電源タップ、電気製品、配線には触れないでください。

電気製品は水や湿気によって漏電する可能性があり、感電や火災につながるおそれがあります。水が入ってから「今のうちにコンセントを抜こう」「ブレーカーを切ろう」と考えるのは危険です。
また、水に入った状態で家電を持ち上げたり、延長コードを動かしたりすることも避けてください。
自宅内への浸水が始まり、外へ避難することも危険な状態になっている場合は、電気設備に触れず、建物内の浸水しにくい高い場所へ移動するなど、その時点でできる緊急安全確保を優先します。

浸水した家電は「乾いたから使える」と判断しない

水が引いた後も注意が必要です。
一度水に浸かった家電は、外から乾いているように見えても、内部に水分や泥、異物などが残っていることがあります。
NITE(製品評価技術基盤機構)は、浸水した電気製品やガス・石油機器をそのまま使用すると、火災や不完全燃焼などを起こすおそれがあるとして、自己判断で使用を再開しないよう呼びかけています。

「数日乾かしたから大丈夫」とコンセントへ差すのは避けてください。

浸水し際の電気・ガスの対処

家電はメーカーや販売店へ、屋内配線やコンセント、分電盤などが浸水した場合は電気工事業者などへ相談し、必要な点検を受けてから使用を再開します。

浸水した可能性がある家では、復電後もすぐにブレーカーを入れない

停電していた地域では、電気が復旧したときにも注意が必要です。
倒れた電気ストーブ、破損したコード、浸水した機器などへ電気が再び流れると、火災につながることがあります。

特に、自宅の配線、コンセント、分電盤などが水に浸かった可能性がある場合は、自己判断でブレーカーを入れず、電気工事業者などへ相談してください。
一方、屋内配線や電気製品が浸水しておらず、電源コードやプラグの破損、焦げ、異臭などの異常も見られない場合は、ブレーカーを入れたうえで、電気製品を一度にすべて接続せず、1台ずつ様子を確認しながら使用を再開します。
異音・異臭・エラー表示などの異常があれば、直ちに使用を中止し、メーカーや販売店、電気工事業者などへ相談してください。

ガス臭がしたら、照明や換気扇のスイッチも触らない

浸水や台風の後にガス臭を感じた場合は、火を使わないことが最優先です。さらに重要なのが、換気扇、照明などの電気スイッチにも触れないことです。
経済産業省は、ガス臭がする場合、火気だけでなく換気扇や電灯などのスイッチも着火源になる可能性があるため、触らないよう案内しています。
安全にできる状況であれば窓やドアを開け、器具栓やガス栓、ガスメーターの元栓を閉めます。ただし、すでに浸水している場所や危険な屋外へ、元栓を閉めるために無理に移動してはいけません。

浸水し際の電気・ガスの対処

危険を感じる場合はその場を離れ、安全な場所からガス事業者へ連絡してください。

浸水したガス機器も自己判断で使わない

ガスコンロ、給湯器などが水害で浸水した場合も、そのまま使用しないでください。

東京ガスネットワークは、水害などでガス機器が浸水した場合、使用を控え、販売店、メーカー、ガス事業者などへ連絡して点検を受けるよう案内しています。

ガスコンロや給湯器などが浸水した場合は、ガスメーターを復帰させて自己判断で使用を再開しないでください。販売店、メーカー、ガス事業者などへ連絡し、必要な点検を受けてから使用します。
ガス機器が浸水しておらず、災害後にガスだけが出ない場合は、まずガス臭がしないか、ガス機器や給排気設備に異常がないかを確認します。異常がなく、ガスメーターの安全装置が作動している場合は、契約しているガス事業者が案内する手順に従って復帰操作を行います。

浸水し際の電気・ガスの対処

ガス臭がする場合は復帰操作を行わず、火気や電気スイッチにも触れず、ガス事業者へ連絡してください。

高層マンションは住戸が浸水していなくても停電・断水することがある

マンションの高層階では、「自分の部屋までは水が来ないから電気も大丈夫」とは限りません。

2019年の東日本台風では、高層マンションの地下に設置されていた高圧受変電設備が浸水し、停電によってエレベーターや給水設備などが一定期間使用できなくなる被害が発生しました。
これを受け、国土交通省と経済産業省は「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」を策定しています。

高層マンションでは、平時に管理組合や管理会社の資料などで次の点を確認しておくとよいでしょう。

  • 受変電設備がどこにあるか
  • 非常用発電設備があるか
  • 非常用電源で動く設備は何か
  • 停電すると給水や排水にどのような影響があるか
  • エレベーターが停止した場合の対応

非常用発電機があるマンションでも、建物内のすべての設備へ無制限に電気を供給できるとは限りません。
「非常用電源あり」だけで安心せず、何が・どの程度使えるのかを確認することが大切です。

平時と浸水が迫ったときでは、見る情報を分ける

浸水への備えでは、平時に確認する情報と、大雨時に確認する情報を分けて考えると分かりやすくなります。

平時に見るもの

まず自治体の洪水・内水ハザードマップで、自宅の想定浸水深、浸水継続時間、家屋倒壊等氾濫想定区域に入っていないかを確認します。
その結果をもとに、「自宅にとどまれるのか」「どこへ避難するのか」「いつ家電を高い場所へ移すのか」「ブレーカーをどの段階で切るのか」まで決めておきます。

大雨が始まったら見るもの

大雨時は、気象庁の「大雨キキクル」や自治体の避難情報、国土交通省「川の防災情報」などを確認します。
大雨キキクルでは、短時間の大雨による浸水害と、中小河川などの洪水災害の危険度を重ねて確認できます。原因ごとに詳しく確認したい場合は、「浸水キキクル」「洪水キキクル」へ切り替えて見ることもできます。

参考記事キキクルの設定方法は?自宅・現在地の表示と使い方を2026年版で解説

洪水キキクルは、中小河川を中心に洪水災害の危険度の高まりを確認する情報です。大河川については、指定河川洪水予報や「川の防災情報」の河川水位などもあわせて確認します。

浸水し際の電気・ガスの対処

「川の防災情報」では、河川水位、洪水予報、避難情報、河川カメラなどをまとめて確認できます。

浸水時は「家を守る」より「命を守る」を優先する

自宅への浸水が迫ると、家電や家具を守りたくなります。
しかし、家の中へ水が入り始めた後にブレーカーを操作したり、家電を移動したりするのは危険です。

水が入る前、安全な時間があるうちに準備する。水が入ったら電気設備に触れない。浸水した家電やガス機器は自己判断で再使用しない。

この境目をはっきり覚えておくことが、感電や火災などの二次災害を防ぐうえで重要です。
そして、避難が必要な地域では、ブレーカーや家財への対応を理由に避難を遅らせないでください。電気やガスの安全対策は、あくまで身の安全を確保できる範囲で行うものです。

よくある質問

Q
自宅に水が入り始めたら、ブレーカーを切った方がいいですか?
A

すでに床へ水が入っている、分電盤や周囲が濡れている場合は、ブレーカーを切るために近づかないでください。感電のおそれがあります。まだ浸水しておらず、分電盤も乾いていて安全に操作できる段階で避難する場合には、ブレーカーを切ることが事故防止につながります。どちらの場合も避難を遅らせないことが最優先です。

Q
水に浸かった家電は、乾かせばまた使えますか?
A

自己判断で使用しないでください。外側が乾いていても内部に水分や泥などが残り、漏電や火災につながるおそれがあります。コンセントへ差し直さず、メーカーや販売店などに点検・修理が必要か確認してください。分電盤や屋内配線、コンセントが浸水した場合は、電気工事業者などへ相談します。

Q
浸水後にガス臭がするとき、換気扇を回してもいいですか?
A

いいえ。ガス臭がするときは火気だけでなく、換気扇や照明などの電気スイッチにも触れないでください。スイッチ操作が着火源になる可能性があります。安全にできる場合は窓やドアを開け、危険な場合はその場から離れて、安全な場所からガス事業者へ連絡してください。

参考資料・出典

情報確認日:2026年9月14日

風水害

小林 裕(こばやし ゆたか)
保有資格:防災士(登録番号:第318434号)
認証機関:特定非営利活動法人 日本防災士機構

元日という特別な日。
幸せな日常や時間が一変し、理不尽に日常や大切な家族・知人を奪われた能登半島地震。
あまりのショックとその現実を前にして、「自分に何ができるのか」を深く自問自答した末に防災士の資格を取得し、防災・減災活動をスタートさせました。

また、本職であるマーケティングの分野で培った「情報を分かりやすく、正確に必要としている方へ届ける」という専門知見を活かし、一人でも多くの方に確かな防災情報を届けたいという想いから、当サイトの企画・運営に至っております。

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