- 高層階で大きな揺れや緊急地震速報を受けたら、慌てて外へ出ず、まず身の安全を確保します。
- 家具類や照明機器などが「落ちてこない・倒れてこない・移動してこない」場所に身を寄せ、頭部を保護して体勢を低くします。
- 頑丈な机が近くにあり安全に移動できる場合は机の下に入り、強い揺れの中で遠くの安全な場所まで無理に移動しないようにします。
- 揺れが弱くなってもすぐ移動せず、けが、転倒・散乱物、落下しそうな物、通路や出入口の状況を確認して行動します。
高層ビルやタワーマンションの高層階にいるとき、大きな地震が発生した場合に特に注意したいのが「長周期地震動」です。
長周期地震動は、一般的にイメージする「ガタガタ」という細かな揺れとは異なり、建物全体がゆっくりと大きく揺れることが特徴です。高層ビルではこの揺れが大きくなり、長時間続くことがあります。さらに注意したいのは、震源から遠く離れた地域でも影響を受ける可能性があることです。
気象庁によると、長周期地震動は遠くまで伝わりやすく、地震が発生した場所から数百km離れた場所でも大きく長く揺れることがあります。高層階では、人が立っていることが難しくなるだけでなく、固定されていない家具やキャスター付きのデスク、コピー機などが大きく移動する可能性があります。そのため、揺れを感じたときに慌てて出口へ走るのではなく、まず室内で自分の身を守ることが重要です。
- 長周期地震動とは?高層ビルが大きく長く揺れる地震動
- 長周期地震動は震源から数百km離れた高層ビルにも届く
- 高層階では震度だけでは揺れの大きさを判断できない
- 長周期地震動階級とは?高層階の揺れを4段階で表す指標
- 高層階の長周期地震動では家具やキャスター付き什器の移動に注意
- 高層階では照明や収納物などの落下にも注意する
- 長周期地震動を感じたら「落ちてこない・倒れてこない・移動してこない」場所へ
- 緊急地震速報を受信したら高層階ではすぐ身の安全を確保する
- 長周期地震動の揺れが収まってもすぐに動き出さない
- 高層階の長周期地震動対策は家具の固定と配置が重要
- 高層階で地震が起きたら長周期地震動を想定して身を守る
- よくある質問
- 参考資料・出典
長周期地震動とは?高層ビルが大きく長く揺れる地震動
長周期地震動とは、大きな地震で生じる「周期の長い大きな揺れ」のことです。周期とは、揺れが1往復するのにかかる時間を意味します。建物には、それぞれ揺れやすい周期である「固有周期」があります。地震による揺れの周期と建物の固有周期が近くなると共振し、建物の揺れが大きくなることがあります。特に高層ビルは固有周期が長いため、長周期地震動の影響を受けると、建物全体が大きくゆっくりと揺れ続けることがあります。そのため、地上や低層階ではそれほど強い揺れと感じなくても、高層階では大きな揺れとなる場合があります。
長周期地震動は震源から数百km離れた高層ビルにも届く
長周期地震動の特徴の一つが、揺れが遠くまで伝わりやすいことです。
気象庁は、大きな地震で発生した長周期地震動によって、震源から数百km離れた場所でも大きく長く揺れることがあると説明しています。2011年の東北地方太平洋沖地震では、震源から遠く離れた首都圏だけでなく、大阪の高層ビルでも大きな揺れが発生しました。実際、大阪府の咲洲庁舎では約10分間にわたって揺れ、最上階の52階では片側で最大1mを超える揺れが確認されています。

つまり、「震源から離れているから、高層階でも大丈夫」とは限りません。巨大地震が発生した場合には、震源から遠い地域の高層ビルやタワーマンションでも長周期地震動への警戒が必要です。
高層階では震度だけでは揺れの大きさを判断できない
長周期地震動を理解するうえで重要なのが、「震度」と「高層階で実際に感じる揺れ」が必ずしも一致しないことです。
通常の震度は、地表付近で観測される比較的周期の短い揺れを中心とした指標であり、高層ビルの高層階で生じる長周期地震動による揺れの大きさを十分に表せない場合があります。気象庁によると、2011年の東北地方太平洋沖地震では、大阪市内の高層ビルで内装材などが破損するほど大きく揺れた一方、地上で観測された震度は3でした。このため気象庁では、高層ビル内での人の行動の困難さや家具・什器の移動、転倒などを基準とした「長周期地震動階級」を設けています。
長周期地震動階級とは?高層階の揺れを4段階で表す指標
長周期地震動階級は、高層ビル内での人の行動の困難さや、家具・什器の移動、転倒などの被害の程度をもとに、長周期地震動による揺れを「階級1」から「階級4」までの4段階で表したものです。

階級が上がるほど高層階での行動が難しくなり、家具や什器が移動・転倒する危険性も高くなります。
例えば長周期地震動階級3では、立っていることが困難になるほか、キャスター付き家具が大きく動いたり、固定していない家具が移動したりすることがあります。さらに階級4になると、立っていることができず、はわないと動くことができない状態になることがあります。
高層階では「震度がいくつだったか」だけでなく、長周期地震動に関する情報にも注意することが重要です。
高層階の長周期地震動では家具やキャスター付き什器の移動に注意
長周期地震動で特に警戒したいのが、室内にある家具や什器の「移動」です。
一般的な地震対策では家具の「転倒」や物の「落下」に目が向きがちですが、長周期地震動では、固定されていない家具やキャスター付きの家具・什器が床面を大きく移動することがあります。キャスター付きで滑りやすい家具などは、建物の揺れと同程度、あるいはそれ以上に移動する可能性があり、非常に危険となります。例えばオフィスでは、キャスター付きのデスクや椅子、コピー機、ワゴンなどが大きく移動する可能性があります。住宅でも、キャスター付きの収納家具などには注意が必要です。さらに、家具同士が衝突することで別の家具が動いたり転倒したりするなど、被害が連鎖する可能性もあります。そのため長周期地震動では、「倒れてくる物」だけを見るのではなく、「横から移動してくる物」も危険だと考えて身を守る必要があります。
私は2011年の東北地方太平洋沖地震の際に、東京の高層ビルで勤務中でしたが、コピー機が大きく横に動いているのを目の当たりにしました。
高層階では照明や収納物などの落下にも注意する
大きな揺れが続く室内では、家具の移動・転倒だけでなく、頭上からの落下物にも注意が必要です。
照明などのつり下げ物が大きく揺れたり、棚や収納から物が飛び出したりする可能性があります。高層階で揺れを感じた場合、出口へ向かって移動しようとすると、こうした落下物や移動してくる家具などに接触する危険があります。

特に強い長周期地震動では、自分の意思どおりに歩くこと自体が難しくなる可能性があります。「揺れたらすぐに逃げる」のではなく、まずその場で安全を確保することが重要です。
長周期地震動を感じたら「落ちてこない・倒れてこない・移動してこない」場所へ
高層階で大きな揺れを感じたり、緊急地震速報を見聞きしたりした場合は、慌てて外へ出ようとせず、まず身の安全を確保します。
気象庁は、地震が発生した場合には、家具類や照明機器などが「落ちてこない」「倒れてこない」「移動してこない」空間に身を寄せ、頭部を保護し、転倒に備えて体勢を低くすることを呼びかけています。
頑丈な机が近くにあり、安全に移動できるのであれば机の下に入り、頭や体を守ります。
机がない場合には、家具や什器が倒れたり移動したりしてこない場所を選び、姿勢を低くして頭部を守ります。大切なのは、強い揺れの中で無理に遠くの安全な場所まで移動しようとしないことです。長周期地震動では立っていること自体が困難になる場合があるため、移動中に転倒したり、動いてきた家具に衝突したりする危険があります。
緊急地震速報を受信したら高層階ではすぐ身の安全を確保する
高層ビルやタワーマンションにいるときに緊急地震速報を受信した場合も、基本的な身の安全確保は通常の地震と変わりません。
慌てて建物の外へ向かうのではなく、周囲を確認し、「落ちてこない・倒れてこない・移動してこない」場所で身を守ります。長周期地震動によって重大な被害が発生する可能性を踏まえ、気象庁は2023年2月から、緊急地震速報の発表基準に長周期地震動階級を追加しています。従来は震度5弱以上が予想される場合などが警報の基準でしたが、現在は長周期地震動階級3以上が予想される場合も緊急地震速報(警報)の対象となります。

高層階で緊急地震速報を受信した場合には、「まだ大きく揺れていないから大丈夫」と考えず、すぐに身の安全を確保することが重要です。
長周期地震動の揺れが収まってもすぐに動き出さない
- 長周期地震動は、大きな揺れが長時間続くことがあります。いったん揺れが弱くなったように感じても、慌てて移動を始めないようにします。
- まず、自分や周囲の人にけががないか確認し、室内に転倒した家具や散乱した物、落下しそうな物がないかを確認します。
- 家具や什器が大きく移動している場合には、通路や出入口がふさがれている可能性もあります。
- 収納物や照明などが不安定な状態になっていれば、揺れが収まった後に落下することも考えられます。また、大きな地震の後には再び強い揺れが発生する可能性があります。
- 揺れが収まった直後も、転倒・落下・移動した物に注意しながら、周囲の安全を確認して行動します。
高層階の長周期地震動対策は家具の固定と配置が重要
長周期地震動から身を守るためには、地震が起きてからの行動だけでなく、平常時の室内対策が重要です。
家具や什器は、転倒するだけでなく、大きく移動する可能性を考えて固定します。特にキャスター付きの家具や什器は、使用していないときに固定できるようにしておくことが重要です。そして家具が転倒・移動した際に出入口をふさいだり、窓ガラスへ衝突したりしないよう、家具を置く位置にも配慮してください。
内閣府が紹介している2011年の東北地方太平洋沖地震の事例では、大阪府咲洲庁舎が長時間大きく揺れた一方、机や棚などは固定されていたため、それらの転倒・移動による被害は確認されませんでした。高層階で暮らしている、あるいは高層オフィスで働いている場合には、「家具を倒れないようにする」だけでなく、「大きく移動させない」という視点で室内を確認しておくことが長周期地震動対策になります。
高層階で地震が起きたら長周期地震動を想定して身を守る
長周期地震動は、大きな地震によって発生する周期の長い揺れで、高層ビルやタワーマンションを大きく、長時間揺らすことがあります。また、震源から数百km離れた地域まで伝わる場合があります。
高層階では、地上で観測される震度以上に大きな揺れとなることがあり、固定されていない家具の転倒だけでなく、キャスター付き家具や什器が大きく移動することにも注意が必要です。大きな揺れを感じたり緊急地震速報を受信したりした場合には、慌てて出口へ走るのではなく、まず「落ちてこない・倒れてこない・移動してこない」場所で姿勢を低くし、頭部を守ってください。もちろん平常時から、家具や什器を固定し、転倒・移動した場合にも出入口をふさがない配置にしておくことが大切です。
高層階では「揺れたら外へ逃げる」のではなく、「その場でまず身を守る」。長周期地震動の特徴を知り、家具の転倒だけでなく「移動」まで想定して備えておきましょう。
よくある質問
- Q長周期地震動とは何ですか?
- A
大きな地震で発生する、周期の長い大きな揺れです。高層ビルやタワーマンションでは建物が大きく長時間揺れることがあり、震源から数百km離れた場所でも影響を受ける場合があります。
- Q高層階で長周期地震動が起きたらどうすればよいですか?
- A
慌てて外へ逃げようとせず、家具や照明などが「落ちてこない・倒れてこない・移動してこない」場所で姿勢を低くし、頭部を守ります。頑丈な机が近くにあれば机の下で身を守ります。
- Q長周期地震動特有の危険とは何ですか?
- A
長く大きな揺れによって、キャスター付きの家具や什器が床を大きく移動する可能性があることです。転倒だけでなく、人への衝突や他の家具との衝突につながるため、平常時から移動防止対策をしておくことが重要です。
参考資料・出典
情報確認日:2026年9月20日

