- 危険な場所にいる人は、警戒レベル4「避難指示」までに避難を終えることが基本です。
- レベル5では遠くの避難所へ無理に向かわず、現在地より相対的に安全な場所へ移ります。
- 緊急安全確保は必ず発令されるとは限らないため、出ていないからまだ大丈夫と判断してはいけません。
- 津波ではレベル5などの情報を待たず、強い揺れや弱くても長い揺れを感じたら海岸や川沿いから離れ、より高い安全な場所へ避難します。
大雨の最中にスマートフォンへ「警戒レベル5 緊急安全確保」という通知が届いたら、どうすればよいのでしょうか。
緊急安全確保は「今から避難所へ避難を始めるための情報」ではありません。
すでに災害が発生している、または発生が切迫し、指定緊急避難場所などへ移動すること自体が危険になっている段階で、その時点でいる場所から少しでも命が助かる可能性の高い場所へ移るための情報です。
本来は、この状態になる前の警戒レベル4「避難指示」までに危険な場所から避難を終えることが原則です。
- 緊急安全確保とは?警戒レベル5で発令される避難情報
- 警戒レベル5になってから避難を始めるのでは遅い
- 緊急安全確保はどんな状況で発令される?
- 緊急安全確保は必ず発令されるとは限らない
- 緊急安全確保が出たら、避難所へ行くべき?
- 洪水・内水氾濫では少しでも高い場所へ移動する
- 高潮では海や河口から離れ、高い場所で安全を確保する
- 土砂災害では崖や斜面から少しでも離れる
- 「屋内安全確保」と「緊急安全確保」は同じではない
- 「警戒レベル5相当情報」と「緊急安全確保」は別の情報
- レベル5相当情報が出たら、緊急安全確保を待たない
- 津波では「警戒レベル5緊急安全確保」は発令されない
- 緊急安全確保になってから考えるのではなく、平時に決めておく
- 警戒レベル5は「最後の避難開始ライン」ではない
- よくある質問
- 参考資料・出典
緊急安全確保とは?警戒レベル5で発令される避難情報
緊急安全確保とは、災害がすでに発生している、または発生が切迫している状況で、市町村長が必要と認める地域の必要と認める居住者等に発令する警戒レベル5の避難情報です。
内閣府の「避難情報に関するガイドライン」では、警戒レベル5の状況を「災害発生又は切迫」、住民が取るべき行動を「命の危険 直ちに安全確保!」としています。
この段階では、指定緊急避難場所などへ立退き避難することが、すでに安全とは限りません。

道路が冠水していたり、河川が氾濫していたり、避難経路で土砂災害が起きていたりする可能性があるためです。
そのため、「いつもの避難所へ行く」という行動から、今いる場所で取れる最善の安全確保行動へ切り替える必要があります。
警戒レベル5になってから避難を始めるのでは遅い
危険な場所にいる人が避難を完了する目安は警戒レベル4までです。
警戒レベル4は「避難指示」で、災害のおそれが高い段階です。
この時点で、災害リスクのある場所にいる人は立退き避難や、条件を満たす場合の屋内安全確保など、必要な避難行動を取ります。
| 警戒レベル | 状況 | 主な行動 |
|---|---|---|
| レベル3 | 災害のおそれあり | 危険な場所から高齢者等は避難 |
| レベル4 | 災害のおそれが高い | 危険な場所から全員避難 |
| レベル5 | 災害発生または切迫 | 命の危険。直ちに安全確保 |
「レベル5が一番高いから、5になったら避難すればいい」という考え方は逆です。
レベル5は、安全な避難に使える時間がすでになくなっている可能性が高い段階と考えてください。
警戒レベル全体の意味については、「警戒レベルの意味と必要な避難行動とは?」でも詳しく解説しています。
緊急安全確保はどんな状況で発令される?
緊急安全確保は、災害が発生している、または災害発生直前など切迫している状況で、市町村が住民に行動を変えてほしいと判断した場合に発令されます。
例えば、次のような状況です。
- 河川が氾濫し、住宅や避難経路が浸水している
- 河川がまもなく氾濫する可能性が極めて高い
- 土砂災害が発生している、または発生が切迫している
- 高潮による浸水が発生している、または切迫している
- 避難経路が冠水や土砂崩れなどで安全に通れない

つまり、避難所まで普通に歩いて移動できる状況を想定した情報ではありません。
緊急安全確保は必ず発令されるとは限らない
警戒レベル5「緊急安全確保」は、災害が発生したら必ず発令される情報ではありません。
災害が急速に進行した場合、市町村が河川の氾濫や土砂災害などの発生状況をリアルタイムですべて把握できるとは限らないためです。
災害が発生してから情報が届く場合もあれば、状況を十分確認できないまま危険な状態になる可能性もあります。
そのため、「緊急安全確保が出ていないからまだ大丈夫」と判断してはいけません。
自治体の避難情報だけでなく、気象情報、キキクル、河川水位、周囲の状況なども確認し、レベル4までの段階で避難することが基本です。
緊急安全確保が出たら、避難所へ行くべき?
必ずしも避難所へ向かうことが正解ではありません。
緊急安全確保の段階では、外へ出ること自体が危険になっている可能性があります。
例えば、避難所へ向かう途中に次のような危険がある場合です。
- 道路が深く冠水している
- 側溝やマンホールが水で見えない
- 河川から水があふれている
- 土砂崩れが発生している
- 暴風で飛来物が飛んでいる
- アンダーパスが冠水している
このような状況で遠くの避難所へ無理に移動すると、移動中に被災する可能性があります。

その時点で、自分がいる場所より相対的に安全な場所へ移るという考え方に切り替えます。
洪水・内水氾濫では少しでも高い場所へ移動する
洪水や道路・住宅の浸水がすでに始まり、安全な立退き避難が難しい場合は、少しでも浸水しにくい高い場所へ移動することを考えます。
例えば、自宅や建物の中にいる場合には、浸水状況や建物の安全性を見ながら上階へ移動することがあります。
近隣に自宅より高く、堅牢で、そこまで安全に移動できる建物がある場合には、その建物へ移ることも選択肢になります。
ただし、これは「2階へ上がれば必ず安全」という意味ではありません。
河川沿いなどで建物そのものが倒壊・流失する危険がある場合や、想定される浸水深が建物の上階まで達する場合には、上階へ移動しても安全を確保できない可能性があります。
だからこそ、平時にハザードマップで浸水深や家屋倒壊等氾濫想定区域を確認し、レベル5になる前に安全な場所へ避難することが重要です。
高潮では海や河口から離れ、高い場所で安全を確保する
高潮で浸水が発生・切迫し、すでに安全な立退き避難が難しい場合も、洪水と同様に少しでも高い場所で安全を確保することを考えます。
建物の上階や、近くにある相対的に高く堅牢な建物などが選択肢になります。
ただし、暴風や高波が発生している中で、無理に屋外へ移動することは危険です。

遠くの避難場所を目指すのではなく、その時点で移動によって危険が増えないかを判断する必要があります。
土砂災害では崖や斜面から少しでも離れる
土砂災害の危険が切迫している場合は、崖や斜面から少しでも離れた場所へ移ります。
安全な立退き避難ができない状況であれば、自宅や建物の中でも、崖に面した部屋から離れた部屋へ移動することが考えられます。

近くに現在地より相対的に安全な堅牢な建物があり、そこまで安全に移動できる場合には、その建物への移動が選択肢になることもあります。
ただし、土砂災害では建物自体が大きな力を受ける可能性があり、室内へ移動したから安全が保証されるわけではありません。
土砂災害警戒区域などに住んでいる場合は、警戒レベル4になるまでの安全な段階で立退き避難することが原則です。
「屋内安全確保」と「緊急安全確保」は同じではない
名前が似ていますが、屋内安全確保と緊急安全確保は異なる避難行動です。
| 屋内安全確保 | 緊急安全確保 | |
|---|---|---|
| タイミング | レベル3・4など、まだ避難する時間がある段階 | レベル5など、災害が発生・切迫した段階 |
| 考え方 | ハザードマップ等を確認し、計画的に建物内で安全を確保 | その時点でより安全と思われる場所へ緊急的に移動 |
| 安全性 | 一定の条件を満たすことを平時に確認して選択 | 安全を確保できるとは限らない次善の行動 |
※屋内安全確保は、洪水等・高潮で条件を満たす場合に選択できる避難行動です。土砂災害・津波は立退き避難が原則です。
洪水などで自宅の上階にとどまることをあらかじめ決めている場合と、逃げ遅れて水が迫る中で緊急的に上階へ移る場合では、同じ「上階への移動」でも意味が異なります。
「警戒レベル5相当情報」と「緊急安全確保」は別の情報
2026年5月29日から、防災気象情報の名称が警戒レベルとの関係を理解しやすい形に変更されました。
警戒レベル5相当の情報には、災害の種類によって次のようなものがあります。
- レベル5大雨特別警報
- レベル5土砂災害特別警報
- レベル5高潮特別警報
- レベル5氾濫特別警報
- レベル5氾濫発生情報
- キキクルの「災害切迫(黒)」表示
これらは国・都道府県・気象庁などが発表する「警戒レベル5相当情報」です。
一方、「緊急安全確保」は市町村長が発令する避難情報です。
警戒レベル5相当情報が発表されたからといって、同時刻に同じ区域へ緊急安全確保が発令されるとは限りません。
市町村は、防災気象情報だけでなく、河川や施設の状況、現地情報、日没や暴風の時刻なども含めて避難情報を判断します。
同じ違いはレベル4にもあります。「レベル4大雨危険警報と避難指示」でも詳しく解説しています。
レベル5相当情報が出たら、緊急安全確保を待たない
レベル5相当情報を確認したときに、自治体からの緊急安全確保を待つ必要はありません。
すでに災害が発生・切迫している可能性があるためです。
危険な場所にいる場合は、現在地の状況を見ながら、その時点で取れる最善の安全確保行動を取ります。
また、本来はレベル5相当まで待つのではなく、レベル3・4相当の防災気象情報が出た段階からキキクルや河川水位などを確認し、自主的な避難判断につなげることが大切です。

キキクルについては、「情報ツール『キキクル』の活用法と大雨時の避難判断基準」で詳しく解説しています。
津波では「警戒レベル5緊急安全確保」は発令されない
ここは間違えやすいポイントです。
津波は、災害の切迫度が段階的に高まる災害ではないため、警戒レベルを付して運用していません。
津波が発生・切迫した場合に市町村から発令される避難情報は「避難指示」です。
海岸付近で強い揺れや弱くても長い揺れを感じた場合は、レベル5などの情報を待たず、直ちに海岸や川沿いから離れ、より高い安全な場所へ避難します。
緊急安全確保になってから考えるのではなく、平時に決めておく
警戒レベル5になった状況では、落ち着いて避難先を検索したり、どの部屋が安全かを一から考えたりする時間がない可能性があります。
平時に次のことを確認しておきましょう。
- 自宅が洪水・内水・高潮・土砂災害の危険区域に入っているか
- 安全に立退き避難できる場所はどこか
- 避難経路に川、崖、アンダーパスなどがないか
- 自宅で屋内安全確保が可能な条件を満たしているか
- 逃げ遅れた場合に建物内で相対的に安全な場所はどこか
- 近隣に緊急時に利用できる高く堅牢な建物があるか
緊急安全確保は、準備しておけば安心できる避難方法ではありません。

「緊急安全確保をしなくてもよい段階で避難する」ことが最も重要な対策です。
警戒レベル5は「最後の避難開始ライン」ではない
警戒レベル5「緊急安全確保」は、避難を始めるための最終案内ではありません。
すでに災害が発生しているか、発生が目前に迫り、安全な立退き避難が難しくなっている可能性がある段階です。
危険な場所にいる人は、警戒レベル4「避難指示」までに避難を終えることを基本にしてください。
もしレベル5の状況まで残ってしまった場合には、遠くの避難所へ無理に向かうのではなく、浸水なら少しでも高い場所、土砂災害なら崖から少しでも離れた場所など、現在地より相対的に安全な場所へ移ります。
そして何より、緊急安全確保は必ず発令されるとは限りません。
「レベル5が出るまで待たない」。これが、警戒レベル5を理解するうえで最も重要なポイントです。
よくある質問
- Q緊急安全確保が発令されたら、すぐ避難所へ行けばいいですか?
- A
必ずしも避難所へ向かうのが安全とは限りません。警戒レベル5は災害が発生または切迫し、立退き避難そのものが危険になっている可能性がある段階です。道路冠水や土砂災害などで移動が危険な場合は、浸水なら少しでも高い場所、土砂災害なら崖から少しでも離れた場所など、その時点で現在地より相対的に安全な場所で命を守る行動を取ります。
- Q緊急安全確保が発令されていなければ、まだ避難しなくても大丈夫ですか?
- A
いいえ。緊急安全確保は必ず発令される情報ではありません。危険な場所にいる人は警戒レベル4「避難指示」までに避難することが基本です。また、自治体から避難情報が出ていなくても、レベル3・4相当の防災気象情報やキキクル、河川水位、周囲の状況を確認して早めに判断してください。
- QQ3. 「レベル5特別警報」と「緊急安全確保」は同じ情報ですか?
- A
同じではありません。レベル5大雨特別警報やレベル5土砂災害特別警報などは、気象庁等が発表する警戒レベル5相当の防災気象情報です。一方、緊急安全確保は市町村長が発令する避難情報です。レベル5相当情報が発表されても、同時刻・同じ区域に緊急安全確保が発令されるとは限りません。
参考資料・出典
- 内閣府「避難情報に関するガイドラインの改定(令和8年3月)」
- 内閣府「避難情報に関するガイドライン(令和8年3月)」
- 気象庁「新たな防災気象情報について(令和8年~)」
- 気象庁「気象警報・注意報」
- 気象庁「キキクル(危険度分布)」
情報確認日:2026年9月21日

